*八段目(道行旅路の嫁入) 「道行(みちゆき)」は先の四段目の後の「落人(おちゅうど)」のように、たいがい恋人同士の男女を中心としたものが多いが、この八段目は加古川本蔵の妻・戸無瀬(となせ)とその義理の娘・小浪(こなみ)、つまり母子の道行となる。 小浪は、由良之助の息子・大星力弥(おおぼしりきや)の許婚者(いいなずけ)。 母と娘は連れ立って、力弥がいる山科へと向かう。 *九段目 通称『山科閑居』の場。 塩谷判官が高師直に刃傷におよんだ時、加古川本蔵が判官を抱きとめたためにとどめを刺すことができなかった。 その本蔵の娘・小浪と大星由良之助の息子・力弥とはいいなずけ。しかし、判官の無念の切腹は本蔵のせいだという見方もあるので、大星側は世間の手前二人の結婚を認めるわけにはいかない。 小浪は力弥と一緒になりたい一心。 彼女の義理の母・戸無瀬は意を決して大星家を訪ね祝言を迫るのだが… *十段目 商人という立場ながら息子を犠牲にしてまでも義士に力を貸そうとする天川屋義平(あまがわやぎへい)の侠気が見どころ。 この天川屋の「天(あま)」「川(かわ)」が、討入りの時に同士討ちしないための合言葉である。 *十一段目 いよいよ討入。 師直(もろのう)の首を討って見事本懐を遂げるまでを、これでもかというほどの実録風立廻りで見せる。 そして、大詰(おおづめ)の引揚(ひきあげ)の場。 師直の首をみごと討ち取った赤穂浪士一行が、首を亡き主君の眠るもとへと、節度を持って、引きあげるとき、両国橋にさしかかる。現在の東京都墨田区から品川区へと向かうわけだから、両国橋を渡ることは、いわゆる江戸城をかすめて行くことになる。 そこに登場する、一行の行く手をはばむ男…。 |